老舗 乾佛具店

高知のお盆に欠かせない灯籠のおはなし


こんにちは、しゃか丸です。
そろそろお盆に向けて準備を始めないと!という人も多いのではないでしょうか?
そして、この写真を見て「そろそろお盆だな」と思う高知の人、「なにこの派手な飾り?なんのお祭り?」と思う全国の方へ、今日は高知のお盆についてお話ししますね。


そもそも、お盆と聞くとなんとなく「ご先祖様が帰ってくる」という漠然としたイメージはあるけれど、具体的にどんなことをするのかピンとこないという人もいるのではないでしょうか?
お盆はご先祖さまをお迎えする行事のひとつで、ご先祖さまに対する感謝を込めてお供えをし、盆提灯の灯りで先祖の霊を迎え日頃の労を癒すお祭りです。
新盆、月おくれ盆、旧盆とお盆期間があり、お迎えする前日の夕方に玄関先でホーロク皿の上で松明を灯し、故人はその灯りを頼りに家へと帰ってきてくれると言われています。
お見送りする日は故人の足元を照らして気をつけて帰って下さいという気持ちを込めて松明を灯します。


お盆の時期に、ナスやキュウリに楊枝を刺したものを見たことはありませんか?
あれはご先祖様の交通手段!帰ってきてもらうときは早く会いたいから馬に見立てたキュウリでお迎えをして、送る際はゆっくり気をつけて帰ってね、と牛をモチーフにしたナスを飾ります。
また、ご先祖様の滞在中は両脇に盆提灯を飾った祭壇を用意し、お花、お菓子、果物のほか、御霊具膳(おりょうぐぜん)に精進料理をお供えします。
こちらの御霊具膳はお盆期間中毎日作ってお供えしてあげて下さい。また、宗派によっては御霊具膳をお供えしないこともあるそうです。


さて、高知のお盆には祭壇やお迎えの準備のほかにもうひとつ欠かせないものがあります。
それが今回紹介する灯籠。全国では丸いフォルムの盆提灯を祭壇の両サイドに飾るのが一般的ですが、高知には初盆と2年目のお盆までは灯籠を飾る文化があるんです。
灯籠といってもシンプルなものではなくて、天井から吊るす大きく荘厳なデザインのもの。高知県では当たり前に飾りますが、県外の人が見ると華やかな装飾にびっくりされることもあります。
また、この灯籠が全国的にポピュラーだと思っている高知県人も多くいて、僕の周りでも仏具店で働くようになってから高知独特の文化だと知った人もいるほどです。


切子灯籠といって、火袋(あかりを灯す部分)が立方体の各角を切り落とした形の吊り灯籠。
大きさもさることながら、華やかな装飾が目をひきます。木枠の部分には土佐ヒノキを使用していて、職人の手仕事によって作られています。
垂れの部分にすがると言われていて、故人にそこで一休みしてもらうと考えられています。盆提灯や松明同様、お盆に帰ってもらうときの目印にもなるんですよ。
色とりどりで綺麗ですよね。


乾仏具店でもお盆に向けてさまざまな提灯・灯籠を展示しています。
初盆を迎える方、今後の参考に一度見ておきたいという方はぜひこの機会にお店に足を運んでみてください。
次回は、盆提灯の組み立て方や種類についてお話しします。皆さんも、お盆に向けて僕と一緒にちょっとずつ準備をしていきましょう!

高知は、東西に広く地域によって作法が異なります。
この情報が高知県全体を指すものではありません。ご了承下さい。
宗派によっても違います。菩提寺様へご確認ください。